「山椒は小粒でもぴりりと辛い」などと
言われます。
山椒の実は小さいのに、とても辛いこと
からのことわざですが、うっかりなめた
りすると舌がしびれますね。
山椒はスパイスとして欠かせない存在で、
色々な食品に加えられますが、特に鰻と
は良く合います。
スパイスとしてだけではなく、漢方薬に
もなっていますので、その効能は大変優
れたものがあるようです。
但し、一度にあまり大量にとると、弊害
もあるようで、それだけ薬品としての効
果が強いということなのでしょう。
そこで今回は、山椒を食べると舌が痺れ
る理由や、その対処法、山椒の効能や食
べ過ぎた時はどうするかなどを見ていきましょう!
山椒のしびれる理由や対処法は?
山椒で舌がしびれるのはなぜでしょうか?
香辛料(スパイス)としてよく使われる
山椒ですが、ワサビや唐辛子とは又ひと
味違った味と匂いですね。
味と匂いだけではなく、舌が痺れるとい
う山椒だけの特徴があります。
ワサビや唐辛子は
辛くても舌が痺れるということはありません。
この独特の舌の痺れの原因は、山椒の
辛味成分であるサンショオールによるものです。
サンショオールは辛味成分としては、唐
辛子に含まれているカプサイシンの200分
の1程度の辛みしかありません。
しかし、サンショオールには
局所麻酔の作用があるのです。
そのため、食べ過ぎると口の中でも特に
鋭敏な舌がサンショオールの刺激に反応
してしびるのです。
大量に食べると危険といわれていますが、
その影響は玉ねぎを大量に食べることで
おこる中毒とほとんど同じ程度です。
ですから、キロ単位で山椒を食べない限
り、問題はありません。
もうひとつ、山椒にはサンショオール以
外にキサントキシンという痙攣毒がある
成分も含まれています。
痙攣毒といっても毒性が強いのは魚類に
対してのみで、人間にはその毒性はよほ
ど大量に摂取しない限り、ほとんどありません。
ただ、痙攣性の刺激は受けるので、サン
ショオールとあいまってしびれの原因になります。
キサントキシンは麻痺性成分でもありま
すが、こちらも特に大量に摂取しない限り
、大きな問題はありません。
山椒によるしびれを防ぐ対処法ですが、
これは一つしかありません。
つまり、
食べ過ぎないということだけです。
どの位山椒を食べると舌のしびれが起こ
るのかは、個人差が大きいので、体験的
に自分自身の適量を見定めるしかありません。
一度舌がしびれた経験がある人は、その
後山椒を食べる時には、少量ずつ食べて
みて、適量を判断してください。
また、舌のしびれが起きた時に、しびれ
を緩和したい時には、牛乳やヨーグルト
が有効です。
牛乳やヨーグルトのような乳製品を摂取
すると、乳脂肪が舌を覆うので、山椒の
刺激を抑えてしびれを緩和します。
山椒の効果、効能は?
山椒はミカン科サンショウ属の落葉低木
ですが、樹木の全てを
あますところなく食べられるのです。
実・葉・種など、すべて料理に使う
ことができます。
日本での産地は和歌山県、高知県、
京都府などが主となっています。
山椒は漢方薬に使われるくらいですから、
多数の栄養素が含まれています。
山椒は食物繊維や、カルシウム・鉄分と
いったミネラル類、ビタミンB群やビタミ
ンEなどのビタミン類が豊富に含まれています。
山椒に含まれている栄養素にはこのようなものがあります。
- サンショオール
- サンショアミン
- ゲラニオール
- リモネン
- タンニン
- カリウム
- セレン
- ナイアシン
- リン
サンショオールとサンショアミドは、
山椒に含まれている辛味成分です。
サンショオールやサンショアミドは脳に
刺激を与えて活性化を促進し、胃腸の働
きを活発にします。
また、消化不良によるる胸やけや下痢など
の防止、改善に効果があります。
さらには、基礎代謝の向上や発汗効果も
あるので、冷え性改善からダイエットま
でさまざまな効能がありますす。
ゲラニオールは、柑橘系の香りがするの
で、香水にも使用されることがあります。
主な効能は、抗菌・防虫作用や抗うつです。
抗菌作用が強い成分なので、ニキビや吹
き出物の予防になりますし、体臭を抑え
る効果もあります。
リモネンは山椒のほかにも柑橘系の果実
や果物の皮に多く含まれる成分です。
山椒のツンとした独特の香りは、この
リモネンによるものです。
リモネンの香りは緊張緩和の効果がある
ため、アロマオイルや飲料の香料、洗剤
や化粧品にも使われています。
また、リモネンには解毒酵素の合成を増
やして、発ガン物質を解毒する力を増強
する効果もあります。
タンニンはポリフェノールの一種で、山
椒以外に緑茶やウーロン茶、紅茶などの
お茶、ワインやコーヒーにも含まれる成分です。
強い抗酸化作用があるため、体内で老化
の原因となる活性酸素の発生を抑えます。
いわゆるアンチエイジング効果ですね。
その他にも、便秘の解消、動脈硬化や心
臓病の予防にも効果があるそうです。
その他にも、山椒には多数の栄養素があります。
- シトロネラール(精油成分)
- フェランドレン
- オイゲノール
- ヒペリン
- β-シトステロール
山椒には花を漬けた花山椒、未熟の果実
を使った青山椒や実山椒、熟した実の皮
の乾燥粉末にした粉山椒などがあります、
また、七味唐辛子の材料にもよく使われているのです。
他にも五平餅やちりめん山椒、山椒あら
れなど様々な食品にも使われています。
中国では漢方薬の他にも、
四川料理には特によく使われます。
山椒の古名はハジカミと呼ばれていました。
これはショウガなどの香辛料全体の別名
でもあり、昔はふさはじかみ(房椒)や、
なるはじかみ(成椒)とも呼ばれていました。
縄文時代の遺跡から山椒の実が付着した
土器が出土したこともあるくらい、日本
では古来から親しまれてきた食品なのです。
「山椒は小粒でもぴりりと辛い」のこと
わざもあります。
それに川魚の山椒魚や森鴎外の小説「山椒
大夫」などにも、日本人と山椒のつながり
の深さが伺えますね。
山椒を食べ過ぎるとどうなる?
山椒を食べ過ぎた時は、副作用的な症状が発生します。
- 目の充血
- 血管の破裂
- 下痢や嘔吐
- 酩酊状態
- 意識障害
ただし、これらの症状が発症するのはごく希です。
目の充血や血管の破裂の症状は、効能で
ある脳の活動を活性化や中枢神経系の
刺激などが過度になった結果かも知れません。
また、下痢や嘔吐は便秘の解消効果が行
き過ぎたとも考えられますね。
酩酊状態や意識障害は、サンショオール
やサンショアミドによる脳への刺激が
過度になったとも考えられます。
「過ぎたるは及ばざるがごとし」という
ことわざがありますが、これは
山椒の摂取にも当てはまるようですね。
キサントキシンやサンショオールには毒
性があり、山椒の
果皮を煮た汁を川に流すという漁の方法もあったそうです。
ただし、これは真偽不明です。
犬や猫などのペットには、山椒や唐辛子
などの刺激物を与えては絶対にいけません。
猫の中には、マタタビと同じように山椒
の香りを嗅ぐだけで酔ったような症状を
みせる猫もいるそうです。
山椒を食べる時の注意点は、香辛料とし
て振りかける程度では、摂取する量はご
く少量なので、特に問題は無いでしょう。
しかし、内臓系の病気がある人には、胃
腸を刺激する作用が強いので危険な時もあります。
山椒に限らず唐辛子やワサビなども同様
の注意が必要でしょうね。
結び
山椒を食べ過ぎると、
時に舌が痺れることがあります。
この舌の痺れの原因は、山椒の辛味成分
であるサンショオールによるものです。
また、山椒にはサンショオールの他に、
キサントキシンという痙攣毒もあります。
もっとも、痙攣毒といっても、人間に対
してはその毒性はほとんどありません。
ですので、よほど大量に摂取しない限り、
問題はないでしょう。
山椒にはビタミンやミネラルなど、豊富
な栄養素が含まれていて、ポリフェノー
ルや香料成分まであるのです。
リモネンや、タンニン、カリウム、セレン、
ナイアシン リンなどが豊富に含まれています。
とはいえ、山椒の取りすぎは、目の充血
や下痢や嘔吐を引き起こすことが
希にあります。
また、酩酊状態や意識障害なども過去に
はあったそうです。
もっともこれらはいずれも例外的なもの
で、普通に香辛料として振りかけて食べ
る程度ならば、全く問題はありません。