日本人に最も親しまれている野生動物と
いえば、タヌキの右に出るものはいません。
証城寺の狸囃子、分福茶釜、タヌキ寝入り、腹鼓、かちかち山
と民話や歌の主人公として、大人気なのです。
その人気は海外にまで飛び火して、それ
までタヌキという動物の存在すら知らな
かった欧米人にも人気アイドルとなってしまいました。
最近は、タヌキは山野だけでなく、都市
部にも住むようになり、
大都市の近郷でも目撃されたりしています。
又現在では、タヌキをペットとして
飼う人もいるようです。
そこで今回は、タヌキは冬眠するのか、
冬はどのようにして越冬するのか、タ
ヌキと他の動物との関わりなども調べてみました!
Contents
タヌキは冬眠するのか?
タヌキは日本では知らない人はいないと思います。
しかし、海外では最近まで日本の民話に
出てくるだけで、
実在の動物としては存在しないと信じられていました。
その位海外、特に欧米では希な存在だっ
たわけですね。
日本ではタヌキはごく一般的な野生動物
ですが、その生態などは案外知られてい
ないようです。
例えば、
タヌキは冬眠するのか
といった問題などです。
タヌキと言えば、タヌキ寝入りという言
葉もあるように、いかにも冬眠しそうな
動物ですよね。
そこでまずタヌキとはどんな動物なのか、
そこからみていきましょう。
タヌキとはどんな動物なのか
タヌキ(狸)は、哺乳綱食肉目イヌ科
タヌキ属に分類されています。
狐などもイヌ科の動物ですが、イメー
ジは大分違いますね。
タヌキは極東にのみ生息する世界的には
珍しい動物であり、日本、朝鮮半島、中
国、ロシア東部などに生息しています。
タヌキはイヌ科の中でも体型がずんぐり
むっくりのタイプで、太い尾に短い脚が特徴です。
イヌ科の中で特に原始的な動物とされています。
生息域は山野が主ですが、最近は都市部
でも見かけるようになりました。
体高、体重は
平均体高は27~37.5cm
平均体重は3.6~6kg
がおよそのサイズです。
タヌキの名前の由来は諸説あります。
「タヌキの皮を手貫き(たぬき)に用い
たから」とする説や、(田の怪(け)の意か
ら」とする説などがあります。
又、たぬき寝入りを「タマヌキ(魂の抜
けた状態)」と呼んだから、という説もあります。
タヌキの英語名はラクーン・ドッグ
(Raccoon Dog)ですが、ラクーンと
はアライグマのことなのです。
タヌキの姿と模様がアライグマに似てい
ることからこう呼ばれています。
タヌキは雑食性で動物以外に植物性の食
べ物を多く食べます。
イヌの仲間の中では特に
食べ物の中で植物の割合が高いのです。
このためタヌキの歯は他のイヌ科のもの
より短く、植物をすりつぶすための臼歯
が大きくなっています。
タヌキは冬眠するのか?
まず『冬眠』とはどういう状態なのでしょうか。
冬眠とは哺乳類や鳥類が活動を停止し、
体温を低下させて冬をすごす
生態のことを言います。
魚類や爬虫類、両生類などの変温動物の
場合は、冬眠とは言わず、『冬越し・越
冬』と言うようです。
哺乳類は18目約4070種類ほどが知られて
いますが、冬眠するのはその内の
7目183種類だけです。
哺乳類全体の僅か4.5%程度しか冬眠しな
いわけですね。
冬眠する哺乳類の代表例はこのようなものです。
- フクロヤマネ
- ハリモグラ
- ヤマネ
- ゴールデンハムスター
- アナグマ
- ツキノワグマ
- ホッキョクグマ
タヌキはいかにも冬眠しそうなイメージですよね。
しかし、どうやら
タヌキは冬眠はしないようなのです。
タヌキは秋になると冬に備えて脂肪を蓄
えて、体重は50%も増加します。
そして、積雪の多い寒冷地では、
冬期には穴ごもりすることが多いのです。
冬眠と違うのは、寝てしまうのではなく、
活動もする点です。
この冬眠しない説が現在の定説なのですが、中には
冬眠する!
と言う人もいます。
そのタヌキ冬眠説をご紹介しましょう。
かつてタヌキは夜行性であると言われて
いましたが、近年の研究で昼間や夕方に
もかなり行動していることが明らかになっています。
また冬になると冬眠しますが、これは
イヌの仲間ではほぼ唯一の例
といっていものです。
しかし、餌の少ない地域では冬でも気温
の高い日は外に出て餌を探します。
また、暖かい地域に棲むものは完全に冬
眠を行いません。
冬眠前のタヌキは多くの餌を食べて脂肪
を蓄え、体重が50%も増加します。
出典 THE ANIMALS
冬眠しない説、冬眠する説、どちらが正
しいのかはなんとも言えません。
しかし、冬眠する説よりも
冬眠しない説の方が圧倒的に多い
のは、間違いない事実です。
タヌキはどうやって冬を過ごすの?
野生の動物にとって、冬は厳しく辛いものです。
その冬を乗り切るために、タヌキもタヌ
キ知恵(という言葉はありませんが)を
絞って冬に備えます。
冬眠しないタヌキは、積雪の多い寒冷地
では
冬には穴ごもりをすることが多いようです。
穴ごもりは、冬眠と違い、木のほらや土
の中に掘った穴に籠もって冬を過ごすこ
とです。
秋の内に集めておいたドングリなどを巣
穴に隠して冬の間の貴重な食糧にするのです。
冬が近づくと、タヌキの毛は毛足の長い
冬毛へと変わります。
夏毛より、冬毛の方が毛が細く密生して
いるので暖かいのです。
冬は、野生動物が多く死ぬ季節ですが、
動物が死ぬと血が体内に沈んで行き、
独特の匂いがします。
その匂いをかぎつけて、肉食動物である
タヌキやキツネ、イタチなどが集まり、
その死骸をたべるのです。
それもまた、冬の間の貴重な餌なのですね。
そしてまた、タヌキは野山の掃除屋として、
ハイエナのような役目をしているのです。
タヌキを飼育する
ペットとして、あるいは研究用として、
タヌキを飼育する人もいます。
タヌキを飼育する際には、
通常の飼育の許可証などはありません。
タヌキは鳥獣保護法では「狩猟が認めら
れている動物」となります。
そのため、狩猟期間中に
怪我や病気のタヌキを保護した場合にのみ、
「生涯飼養許可」を申請して飼育することができます。
怪我も病気もしていないタヌキの場合に
は、「放獣」あるいは「殺処分」となり、
飼育はできません。
放獣とは、タヌキを捕らえた場所に戻し
て放す、ということです。
タヌキの平均寿命は、野生では10年程度、
飼育では最高16年の長寿のタヌキがいます。
日本にいるタヌキは、北海道にいる
エゾタヌキ、本州・四国・九州などにいる
ホンドタヌキの2種類です。
タヌキの性格は非常に特徴的です。
- 臆病で警戒心が強い
- 時には凶暴で攻撃的になる
- 人に懐きにくい
- 雑食性で何でもよく食べる
このように、決して飼いやすい動物ではありません。
イヌ科の動物と言っても
犬とは全く違う野生の動物
なのです。
タヌキに餌を見せても、しっぽを振りな
がら近づいて来るなどということは決し
てありません。
野生の動物でも、
赤ちゃんの頃から飼えば人になつきます。
ライオンや虎などの猛獣でも同じで、
野生のエルザなどというエッセイや
映画もあります。
子供が生まれたエルザが、ジョイ・アダ
ムソンさんに子供を見せにくるシーンは、
非常に感動的ですね。
しかし、成獣になってから飼い始めた
場合では、人になつくようになるのは、
非常に困難です。
タヌキは思いつきで飼えるような動物で
はないのです。
野生動物への強い愛情と、充分な知識と
経験を持っている人でない限り、
飼育は考えない方がよいでしょう。
タヌキと犬の関係は?
タヌキも犬もイヌ科の動物です。
では、もしタヌキと犬が出会ったら喧嘩
をするのでしょうか。
そんな他愛もないことを考えたりもしま
すが、タヌキと犬との特性や相性などを
見てみましょう。
タヌキは希に人に飼われることもありま
すが、基本的には野生の動物です。
一方犬は、野生化した犬もいますが、基
本的には人に飼われ、人と一緒に生活しています。
これはどう考えても相性は良く無さそうですね。
犬の大きな特徴は、
人間に対する強い愛情と信頼です。
他の動物でこれほど人間を愛し、信頼するものはありません。
その理由は、犬は2.3万年ほど前には
狼(アジア狼)であり、群れで生活
していた、という所にありそうですね。
狼でも犬でも、群れのリーダーには
絶対服従です。
人に飼われている犬にとっては、群れの
リーダーとはすなわち人間、飼い主です。
又一方、犬をごく小さい頃から親代わり
に育てれば 犬から見れば飼い主は親です。
どの動物でも親には愛情を示します。
犬も全く同じで、犬にとって飼い主は群
れのリーダーと親を兼ねた存在なのです。
これが、犬が人間に強い愛情と信頼を持
つ由縁なのだろうと思います。
ではタヌキと犬の喧嘩はあるのかといい
ますと、お互いが威嚇して鳴いているの
は目撃されているそうです。
また、実際に犬がタヌキに噛まれたとい
う例もあるとか。
まあ、あまり出会わせたくはない、取り組みですね。
結び
冬眠する動物には、アナグマやツキノワ
グマなどがありますが、タヌキはどうか
というと、冬眠はしないというのが定説になっています。
もっとも冬眠するという人も、少数では
ありますが、いることはいます。
タヌキの越冬は、中々厳しい生活のようですね。
寒い冬の時期には穴ごもりをします。
穴ごもりは冬眠と違い、木のほらや土に
穴を掘ってその中で暮らすのです。
冬眠と違うのは、寝てしまうのではなく、
時々は活動もする点です。
それでも野生の動物にとって、冬は厳し
い季節で、死ぬのも冬が最も多いそうです。
つくづく、人間に生まれて良かったと思いますよ。