ヤマカガシは1970年代までは
毒蛇ではないと考えられていました。
それが毒があることが
知られるようになったのは
1970年代の中頃に
ヤマカガシに噛まれて死んだ人が出てからなのです。
そのヤマカガシの毒は
単位量あたりの毒性では
マムシやハブを上回るもので、
大変危険な蛇です。
マムシやハブと言いますと
皆さん一歩退きますが
ヤマカガシはそんなに危険な蛇
という認識がないのか
無警戒な人が多いようですね。
愛嬌のある顔つきや
ヒキガエルとの変わった関係など
ヤマカガシには話題が多いようです。
そこで今回は
ヤマカガシは食べられるのか
食べる時の注意点
マムシなどの毒蛇の肉は食べても大丈夫なのか
調べてみました。
ヤマカガシは食べられるの?
結論から書きますと
ヤマカガシは食べられます。
ヤマカガシに限らず
マムシなどの毒蛇も食べることはできます。
ヤマカガシは
全長が70センチから150センチ程度で
日本の蛇としては中型の大きさです。
身体には赤い斑点がありますが
これも地方によって色や形など微妙に違うようなのです。
また、『頭が三角形の蛇は毒蛇』などと
言われますが
ヤマカガシの場合はやや細めの丸い形をしています。
ヤマカガシは全国至る所に生息し
日本の蛇としては
アオダイショウやシマヘビと並んで
最もポピュラーな蛇ですね。
ちょっととぼけたような愛嬌のある
顔つきのヤマカガシですが
性格もおとなしいというか
臆病なので、なにもしないのに
いきなり人間を襲ってくる
というようなことは、滅多にありません。
ヤマカガシの毒は2種類ある
ヤマカガシの毒は
マムシのハブのような神経毒ではなく
血液毒なのですが
毒の強さから言うと、
マムシの4倍、ハブの8倍という強さで、致死率も10%
と、ハブやマムシよりも
はるかに高いという
非常に恐ろしい毒蛇なのです。
沖縄や奄美には
ヤエヤマヒバァヤガラスヒバァなど
ヒバカリの仲間
クメジマハイ
オキナワハイ
奄美諸島のヒャンなどの毒蛇がいます。
これらの蛇は、あの恐怖の
コブラの同類で
特にヒャンは毒性が非常に高いので、怖いですね。
ヤマカガシの毒は
そのヒャンに匹敵するそうなので
どこにでもいる蛇だからと
馬鹿にしていると、危険です。
ヤマカガシの特徴は
あのヒキガエルが大好物という点で
しかもヒキガエルの毒を自らの体にため込み
獲物を襲う時には
首の後ろの毒腺から噴出する
という怖い習性があるのです。
マムシでさえ避けて通るという
『マム避け』ヒキガエルですが
ヤマカガシは天敵なのですね。
蛇が獲物を食べる時は
頭から丸呑みにするのが普通ですが
ヤマカガシは尻尾から
呑み込んでいくという奇癖?を持っています。
その理由はわかっていませんが
尻尾からの方が味がよい
というわけではなさそうですね。
前掲の画像もその
尻尾から丸呑みのものです。
このような一般的なわりに
危険な蛇ですので
食べることはあまりお勧め出来ません。
ヤマカガシについては
こちらの記事にも書いていますので
ご一読いただければ幸いです。
ヒキガエルの毒性の成分は何?犬や人間がくらった時の対処法は?
9月といえばの行事やイベント、記念日や花などネタの種を紹介!
食べる時の注意点は?
ヤマカガシやマムシなどの
毒蛇を食べる時の注意点としては
まず生は絶対に不可です。
寄生虫がいる場合が多いので
これは非常に危険です。
ただ、匂いは青臭い匂いが
強烈なアオダイショウなどと違い
それほど強烈ではないようです。
また、火を通す場合でも、
毒のある部分、特に毒を出す奥歯と、首の後も避ける
べきです。
これはマムシの場合も同様に
毒を出す部分は避けます。
つまり、首から10センチ下あたりから
そっくり切り落とせば、まず大丈夫でしょう。
もっとも、首の後の毒は
加熱すれば無毒になりますが
念のためです。
もちろん臓物は全て取り去り
流水できれいに洗います。
この時注意する点としては
蛇は頭を切り落とされても
その頭は暫くの間は動きますので
うっかり手が触れたりすると
噛みつかれることもあります。
もう一つ
蛇は匂いのきついものが多いので、
匂い消しとして山菜なども合わせて
料理した方がよいでしょう。
後は煮るなり焼くなりご自由にどうぞ。
噛まれた場合の対処法は?
生物の持つ毒には
フグ毒のように消化器に入ると危険なもの
皮膚につくと炎症をおこすもの
血液に入ると危険なもの
各種あります。
一般に毒蛇の毒は
血液に入らないと作用しないので
噛まれなければ安全です。
しかし、ヤマカガシの場合
首の後から噴射する毒は
ヤマカガシ本来のものではなく
ヒキガエルの毒をため込んだものです。
なので、手にかかっただけで
炎症を起こす場合もあります。
ヤマカガシの毒は
マムシやハブと違い
神経毒ではなく血液毒ですが
毒性はかなり強烈です。
ただ、マムシやハブと違い
ヤマカガシには
毒を注入するための前歯がありません。
では、どこから毒を注入するかというと、
奥歯から
なのです。
したがって、ヤマカガシに
噛まれた部位が
太もものように太くて大きい場合には
奥歯が届かず
結果として毒に冒されない場合も多いようですね。
これが、比較的最近まで
ヤマカガシは無毒と信じられていた理由
ではないかと思います。
つまり、噛まれても
毒が入らなければ
重篤な状態にはならないからです。
ヤマカガシに噛まれたら
では、もしヤマカガシに
噛まれた時はどうしたらよいのでしょうか。
ヤマカガシに噛まれた時に困ることは、
噛まれた直後にはその毒が血液中に入ったのかどうかがわからない
という点です。
ヤマカガシの毒は奥歯にあるのですが
噛まれた傷が奥歯によるものなのかは
噛まれて動転している時には
見当もつきませんよね。
また、ヤマカガシの毒自体が
自覚症状が出るまでには相当の時間がかかるのです。
その毒性は強い血液凝固作用で
血管内で微小な血栓形成を引き起こし
結果として毛細血管の多く集まっている
鼻や喉、歯茎、消化器、肺などから出血を引き起こします。
重症の場合は
脳出血や急性腎不全などが起きることもあります。
ただし、これらの症状は
噛まれた直後にはおきません。
マムシやハブに噛まれた時のような
腫れや炎症もなどもありません。
このため、そもそも噛まれたのが
ヤマカガシであったのかどうかさえ
不明な場合が多いのです。
とはいえ、噛まれた場合には、その蛇には
毒があった
と仮定して行動すべきでしょう。
応急処置は以下のようなものです。
- まず噛まれた部位を流水で洗いながら、手で血を絞り出す
- 次ぎに噛まれた部位から10センチ程心臓に近い位置を、ハンカチなどで縛る
- できるだけ速く医師に診て貰う
この場合、口で血を吸い出すのは危険です。
又、縛る時はあまり強すぎないようにし
完全に血流が止まってしまうことのないようにします。
ヤマカガシも血清の注射は有効ですが
常備しているところはあまりないのです。
マムシの血清は至る所にありますし
ハブの血清は沖縄ではパトカーに常備しています。
しかし、ヤマカガシの血清は
そもそもヤマカガシに噛まれる
症例が少ないため
日本で常備しているのは
ジャパンスネークセンター(日本蛇族学術研究所)だけです。
結び
ヤマカガシに噛まれた場合は、症状が出る迄にかなりの時間がかかるため、本当にヤマカガシに噛まれているかの判定すら困難という、難しい問題もあります。
君子危うきに近寄らずですね。