正月

一本締めと一丁締めの違いは?意味ややり方を見て間違えないように!

祝いごとや宴会の終わりには手締め
という一種の行事のようなものが行われます。

 

手締めとは、一同でシャンシャンシャン
と、タイミングを合わせて手を叩くことです。

 

「これで今回は終わりですよ」

と宣言すると共に

恙なく終了したことへの感謝を表す意味もあります。

 

手締めはどれも皆同じかと思っていたの
ですが、調べてみると多数のやり方があ
り、それぞれ意味が違うのですね。

 

しかも、時代や地方によっても独自の方法があります。

 

そこで今回は、その手締めの一本締めと
一丁締めの違いや、その他の方法の意味
や由来などを調べてみました。

一本締めと一丁締めの違いは?

手締めには一本締め、一丁締め、三本締
めその他、色々なやり方があります。

 

それぞれやり方や意味が違うのですが、
最も一般的なのは一本締めでしょうね。

 

これは手締めの割合のグラフですが、
三分の二は一本締めと、

圧倒的に一本締めの比率が高くなっています。

 

出典 ぐるなびWEBマガジン

 

では、一本締めと一丁締めの違いとはど
んなものなのでしょうか?

 

一本締めとは

お祝いの席や宴会の最後に

「ではみなさん、お手を拝借~」

と幹事から声がかかります。

 

そして皆が揃って、一定のリズムで手を
叩くのですが、これが手締めです。

 

この手締めで「今日の宴席もこれで終わ

り」と、気持ちよく締めくくりとなります。

 

まず、一本締めのやり方です。

 

最初に、締めを頼まれた人が

「ではみなさん、お手を拝借~」

と声かけをします。

 

「いよ~~おっ!」

と音頭の後、

全員での拍手となります。

 

シャンシャンシャン

シャンシャンシャン

シャンシャンシャン

シャン

と、計10回の拍手をしますが、最後の
シャンは、3拍手が3回で9になるので

「九=苦」は不吉とされます。

 

そのため、最後に1を足すことで「九」が

10つまり「丸」になります。

 

全て丸くおさまり、宴会や行事が縁起よ
く終わることができるのです。

 

最後に全員の拍手と「ありがとうござい
ました」という挨拶で終了となります。

 

尚、この一本締めは、三本締めを簡略化
したものです。

 

一丁締めとは

まず

「ではみなさん、お手を拝借~」

と声かけがあります。

 

「いよ~~おっ!」

と音頭の後、

全員での拍手となります。

 

一丁締めの時の拍手は

シャン

1回だけで終わります。

 

最後の拍手や「ありがとうございました」
という挨拶もありません。

 

一丁締めは身内だけ、あるいは

ごく親しい間柄での宴会や行事

で、よく行われます。

 

この一丁締めは、相席や深夜、或いは大
声がはばかられる席などで用いられます
が、短気な江戸っ子向きでもあります。

 

そのため、

一丁締めは「関東一本締め」

と呼ばれることもあります。

 

関東の一部地域では一丁締めのことを
一本締めと呼ぶことがあるからだそう
ですよ。

 

尚、出席者が「一本締め」と「一丁締め」を混同している場合もあるでしょう。

 

そんな恐れがある場合には、手締めの前
に一言説明をしておけば間違いが起こり
ません。

 

「ご紹介に預かりました○○です。

 

僭越ながら私が音頭をとらせていただき
まして、一本締めで締めたいと思います。

 

私が、「いよ~~おっ!」と
声をかけましたら

シャンシャンシャン

シャンシャンシャン

シャンシャンシャン

シャン

で、お願いいたします。」

 

こうしてあらかじめ説明しておけば、
間違いも起こらないでしょう。

 

尚、手締めは起立して行うのが習いです
ので、着席している時には起立をお願い
しましょう。

手締めの由来

外国人が日本の宴席や記念の行事に参加
すると、この手締めに最初は驚き、そし
て喜ぶそうです。

 

外人「オオ! これぞ日本の和の象徴!」

というわけですね。

 

では、この手締めという作法には、どの
ような由来があるのでしょうか。

 

手締めの意味は、

「行事が無事終了した事を祝い、
協力して下さった方々に感謝する」

ことです。

 

手締めの語源は

「手を打つことによって締める」

というもので

そのため「手打ち」とも言います。

 

外国でも喜びや賞賛を表す行動として、

拍手は一般的ですね。

 

しかし、ものごとの決着を表す場合はあ
まりないようなのです。

 

この日本の手締めの由来は、古く日本神話にあります。

 

古事記には、こんな記述があります。

 

大国主命(おおくにぬしのみこと)は
天照大神(あまてらすおおみのかみ)
から出雲の国を譲るように言われました。

 

長男の事大主神(ことしろのみこと)に
返答を求めたところ、

柏手を打って承知した

というものです。

 

これが「手を打つ」という行動が登場
する最古の文献です。

 

ここから、

柏手を打つことが物事が決着する意味

となっていきます。

 

この柏手が、「手を打つ」、「手締め」
となり、現在のように物事がまるくおさ
まったという意味になりました。

 

江戸時代には落語家の襲名の儀式でも
手締めが行われるようになります。

 

また、1878年(明治11年)の東京取引証券
所の開所以降、大発会や大納会での手締
めが始まります。

 

この大発会や大納会での手締めは、

現代でも変わらず行われています。

各地の手締めの違いは?

一本締めと一丁締めの違いは、前項で説
明しましたが、手締めにはそれ以外にも
多数のやり方があります。

 

また、地方によっても独自のやり方があ
りますので、その内のいくつかをご紹介
しましょう。

 

まず一本締めや一丁締めの元となった

三本締め

というやり方があります。

 

これは各種の手締めの中でも、一番正式
な手締めのやり方なのです。

 

三本締めとは、

一本締めを3回繰り返す

手締めです。

 

シャンシャンシャン

シャンシャンシャン

シャンシャンシャン

シャン

シャンシャンシャン

シャンシャンシャン

シャンシャンシャン

シャン

シャンシャンシャン

シャンシャンシャン

シャンシャンシャン

シャン

ということになります。

 

3回繰り返すのは、

全ての人に礼を尽くすという意味の

「三方礼」に由来しているそうです。

 

又、最初のシャンの前に「イヨ~!」な
どのかけ声が入る時もあります。

 

この「イヨ~!」は「祝おう」が転じた

ものとされています。

 

五本締め

五本締めという、ちょっと変わったやり方もあります。

 

まず人差し指だけで手を叩きます。

 

叩き方は一本締めと同じ

シャンシャンシャン

シャンシャンシャン

シャンシャンシャン

シャン

です。

 

次は人差し指と中指で手を叩きますが、
叩き方は全く同じです。

 

こうして、叩く指を3本4本としてゆき、
最後は5本の指全てで拍手します。

 

この五本締めでは、段々と音が大きく
なっていくので、

末広がりということで縁起がいいとされています。

 

「上り(のぼり)締め」とも言われます。

 

これはサンレーグループの会長の
佐久間進氏が始めたものだそうです。

 

日本各地の手締め

  1. 江戸締め
  2. 大阪締め
  3. 博多手一本
  4. 伊達の一本締め
  5. 武州川越締め
  6. 秩父締め
  7. 名古屋ナモ締め

手締めには随分と色々あるものですね。

 

その分、日本全国で広く行われている
ということなのでしょう。

 

江戸締めはごく普通の手締めですので
説明は省略します。

 

大阪締め

大阪締めは大阪の手締めで、大阪では
「手打ち」といいいます。

 

その打ち方はこのようなものです。

 

「打ーちまひょ!」 パンパン

「もひとつせ」 パンパン

「祝うて三度」 パパン パン

「おめでとうございますー」パチパチパチ…(拍手)

尚、言葉は地域、行事によって多少異なるそうです。

 

博多手一本

博多(福岡県福岡市)では、博多手一本
と呼ばれる独特の手締めがあります。

 

博多祇園山笠や、福岡証券取引所の大発会・大納会などでこの博多手一本の手締めが行われます。

 

「よー」 シャン シャン

「まひとつしょ」 シャン シャン

「祝うて三度」 シャシャン シャン

というものです。

 

伊達の一本締め

伊達政宗公ゆかりの手締めです。

 

伊達政宗が天下統一を夢見て、三国一の
武将を目指す祈願を込め、「三国一」の
「三」と「一」を掛けたものだそうです。

 

慶長18年(1613年)の

支倉常長らの慶長遣欧使節の出帆

の時にも、この手締めが行われたといわれています。

 

江戸時代に入ると幕府への遠慮から行わ
れなくなり、宮城県松島町の円通院にの
み代々伝承されていたのです。

 

「よー」 パパパン

「よー」 パン

というシンプルなものです。

 

名古屋ナモ締め

このナモは名古屋の方言の「ナモ」です。

 

名古屋ナモ締めは、この「ナモ」を
掛け声に取り入れた手締めです。

 

ここまでの手締めは自然発生したもので
すが、この名古屋ナモ締めは創作

という所が変わっていますね。

 

2014年に、原案は西川右近(名古屋西川
流総師)、作曲家・三枝成彰がアレンジ
をして作られました。

 

口上「○○の幸せ みんなで願う みんなの幸せ あなたが願う ハァ」

(行状は自由にアレンジ)

ナモ ナモ ナモ
ナモ ナモ ナモ
ナモ ナモ
ナモ ナモ ナモ

「ナモ」は手拍子と同時に発声します。

 

 

結び

手締めの意味は、これで全て決着、
丸く収まったことを表します。

 

手締めの一本締めは、拍手のシャンが

3 3 3 1の一般的な手締めです。

 

一丁締めは シャンが1回のみと

と簡略化されています。

 

手締めには他にも、

もっとも正式な三本締め

や、指で打つ五本締めなど多数のやり方があります。

 

又、日本各地に、大阪締め、博多手一本
伊達の一本締めその他、ローカル色豊
かな手締めがあります。

 

外国では喜びなどで手を打つ風習は広く
ありますが、全てが決着したという意味
で手を打つことはあまりないようです。

 

そのため、手締めを見た外国人は、

「これが日本の和だ!」

と驚き喜ぶそうですよ。

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