気になること

タイラギは細菌がいて食中毒が起きやすい?安心な食べ方とは?

「タイラギ」という貝があります。

おそらくは聞いた事がない人の方が多いでしょうね。

もし知っていればかなりの通人と言えます。

しかし、一般名の「タイラガイ」と言えば、
殆どの人は「ああ、あれか」
と思い出すでしょう。

でっかい二枚貝で、貝柱は寿司では「柱」
と言われて大変好まれています。

淡泊なのにコクがあり、噛みしめるとう
まみがあふれ出してくるのです。

 

しかし、このタイラギには希に
腸炎ビブリオという
細菌がいて、食中毒を起こすことがあります。

今回は、タイラギの細菌と食中毒につい
て、おいしく安全な食べ方や、タイラギ
とはどんな貝なのかを調べてみました。

タイラギの細菌と食中毒

これが腸炎ビブリオ菌です。

腸炎ビブリオによる食中毒は、1999年
8月14日~17日にかけての4日間に、おき
た大阪府下での例が有名です。

 

これは輸入タイラギの貝柱が原因ですが、
全14件で患者数110名が発生しました。

 

タイラギの貝柱を寿司や会席料理等とし
て食べた後、翌日から腹痛、下痢、嘔吐、
発熱等の症状が現れました。

この事件は、輸入業者に対する回収命令
と関係施設に対する注意喚起通知等の行
政措置が講じられた後は発生はみられなかったとのことです。

 

また、タイラギによるものではありませんが、
1950年に大阪府で発生し、272名の患者と20名の死者
を出した例もあります。

 

これはシラス干しによるもので、第二次
世界大戦後では日本最大規模の集団食中
毒事件となりました。

この事件では。既知の食中毒菌は発見さ
れなかったことから、毒物混入事件
として刑事事件で立件されたのです。

 

この当時は1949年に下山事件、三鷹事件、
松川事件など、怪事件があいついで発生
していました。

そのため、何者かが社会混乱を目的に
物をばらまいたのではないかという疑い
もあったようですね。

 

しかし、ヒ素や亜硝酸塩などの毒物は発
見されず、原因は特定できないままでした。

 

その後、藤野恒三郎という研究者が、実
験動物と血液寒天培地を用いた分離実験
によって、新種の病原菌を発見したのです。

 

これが腸炎ビブリオなのです。

 

日本人による新種の病原菌発見は、当時
は非常に希でしたので、社会と学会に大
きな衝撃を与えました。

 

日本においては、腸炎ビブリオ食中毒は
サルモネラと並んで発生件数の最も多い
食中毒でした。

 

特に1992年までは、日本における
食中毒原因の第1位を占めていたのです。

 

その後、感染防止策の徹底により、腸炎
ビブリオによる食中毒は減少傾向にあり
ますが、特に生食の場合は充分な注意が必要でしょう。

腸炎ビブリオとはどんな細菌?

腸炎ビブリオによる食中毒が起こりやす
い原因の一つは、その増殖が非常に速い
ということにあります。

 

最適な培養条件下では、およそ10分間に
1回の割合で分裂しますが、大腸菌は20-
30分間に1回の割合で分裂します。

 

これは腸炎ビブリオは大腸菌の3倍の速度
で増殖ということではありません。

 

細菌はn回の分裂で2n個に増殖します。

 

そのため、大腸菌は4時間後にが約4000個
になるのに対して、1個の腸炎ビブリオは
1000万個以上に増殖することになります。

 

これは速度比にすると、
約2500倍の速さで増殖することになります。

 

これが腸炎ビブリオが流行しやすい原因
のひとつでしょうね。

 

腸炎ビブリオ食中毒の症状と予防

腸炎ビブリオ食中毒の症状は、感染後
6-12時間の潜伏期の後に、激しい腹痛と
下痢(ときに血便を伴う)を発症します。

 

その後、嘔吐や発熱があることもあり
ますが、2-3日で回復します。

 

高齢者など免疫の低下した患者では、ま
れに毒素による心臓毒性によって死亡す
る例もあります。

 

通常は抗生物質を使用しなくても、
数日で回復する場合が多いようです。

 

抗生物質としては、ニューキノロン系、
ホスホマイシン系、あるいはテトラサイ
クリン、カナマイシンなども使用されます。

 

予防には、食品は
充分加熱すれば安全です。

 

また、保存は冷凍とする、真水で良く
洗うなどが有効とされています。

タイラギとはどんな貝?

タイラギは一般的には「タイラガイ」の
方が通りがよいでしょうね。

 

その名の通り平なのでタイラガイというわけです。

 

各地では「たいら」+「貝」と呼ばれ、
「貝」を「げー」、「ぎ」、「ぎゃー」
などと発音することが多いのです。

 

「タイラギ」は有明海周辺での呼び名で
すが、名産地のために正式名になったのでしょう。

 

タイラギは、
ウグイスガイ目ハボウキガイ上科ハボウ
キガイ科クロタイラギ属に属します。

 

英名では「Pen-shel」、「Fan-shell」な
どと呼ぶようですね。

 

大きさは15センチ前後が多いのですが、
1年で10センチ以上、6年で30センチ前後
に成長します。

 

日本で食用にされる貝の中でも最大級の貝です。

 

食べる部位は、関東の寿司や刺身では柱と
呼ばれる貝柱が主です。

 

しかし、ヒモや足なども好事家には愛好されます。

 

また、九州などでは貝柱以外を「びら」
という名称で、生食用として販売しているそうです。

 

貝柱に勝るとも劣らぬ味だとか。

 

価格は1個あたり400円から600円と、かなり高価です。

 

主な産地は韓国で、国内では三河湾(愛
知県)、岡山県、香川県などのものが多いです。

 

漁法は潜水漁やタイラギこぎ漁が主となっています。

 

地方での呼び名には凄いものが多くあります。

 

クソガキ、クソサライガイ、ババガキ、
ババトリ、ババトリギャーなど、
噴き出すようなものまであるのです。

 

貝にもBBAがいるのですね。

 

タイラギには、不思議な或いは美しいも
のが幾つかあります。

 

足糸

タイラギには藻のような糸のようなもの
がついています。

 

これが足糸というもので、緑褐色で長さ
10-20cmほどの、絹糸のような糸です。

 

これを砂粒や小石を付着させ、
アンカーのように体を固定させて
いるのです。

 

「昔この足糸の繊維から織物が造られて
いた」という話もありますが、真偽不明です。

 

英語では足糸から造った繊維を「Sea Silk」
と呼ぶそうですが、そこからみるとやは
り織物に使われていたのでしょうか。

 

この足糸は。人間の髪の毛よりもずっと
細く繊細で、とてもきれいです。

 

これはレモンジュースに浸したものだそ
うですが、本当に女性の金髪のように輝
いていますね。

 

カクレエビ

もう一つ、タイラギには芸?があります。

 

それは不動産?賃貸業です。

 

カクレエビという海老さんに部屋を貸し
ているのです。

 

タイラギを開いてよく見ると、ヒモのあ
たりに小さなエビがいることがあります。

 

それもオスとメスの夫婦で間借りしているのです。

 

そして身体の大きい方がメスなのです。

 

保護色なのか、非常にうまくヒモと同化
しているので見つけづらいのですが、
いる確率は高いそうですよ。

 

このかわいいカクレエビも、
唐揚げにして食べる地域があるとか。

 

なにか可哀想な気もしますね。

 

こんな可愛いカクレエビは
飼うこともできる
そうです。

 

但し、飼育はかなり難しいですが、それ
でも数ヵ月は生きているとネットにはありました。

タイラギの食べ方

安全なタイラギの食べ方は、腸炎ビブリ
オ対策としてはまず 加熱

でしょうね。

 

次に保存の際は冷凍にすること、食べる
前には流水でよく洗うことなどがあります。

また、これまで腸炎ビブリオの感染は、
輸入物特に韓国産が多いので、
国内産国産のものを選んだ方が、安全度は高いでしょう。

養殖ものは生食でもまず安全かと思われます。

 

タイラギのレシピと資源について

タイラギのレシピとしては、やはり刺身
と寿司が最もうまいですね。

 

他には、天ぷらも美味という定評があります。

 

また、バター焼きや炊き込みご飯も定番の一つでしょう。

 

ただ、心配なのは、国内産タイラギの激減です。

 

特にこれまで最大の産地だった有明海で
激減し、2000年以降はほとんど
皆無に近い状態にまで追い込まれました。

 

その原因は、海底の環境悪化による浮泥
の増加のようです。

 

しかもこの浮泥については有効な対処法
がないので、経産省主導で2006年から養
殖の研究が始まりました。

 

養殖貝の貝柱は天然貝の約2倍の重さがあ
り、味も天然と変わらないそうなので、
近い将来は養殖タイラギが主流になるかも知れませんよ。

 

結び

タイラギの腸炎ビブリオによる食中毒は、
1999年8月14日~17日にかけての4日間に、
おきた大阪府下での例が有名です。

 

輸入タイラギの貝柱によるもので、患者
数は110名、当時は未だ腸炎ビブリオは
発見されていませんでした。

 

また、シラス干しの腸炎ビブリオによる
ものでは、1950年に大阪府で発生した、
272名の患者と20名の死者のケースが有名です。

これは第二次世界大戦後では、日本最大
規模の集団食中毒事件となりました。

安全なタイラギの食べ方は、まず加熱が一番です。

 

次に保存の際は冷凍にすること、食べる
前には流水でよく洗うことなどがあります。

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